若林けんた
若林けんた

メールマガジン 若林けんた

2020年11月4日

秋も深まり、菅新内閣での臨時国会へ

 秋が深まり、山が白くなり、冬の足音を感じる季節になってきました。連日のご挨拶廻りも、コロナ禍で休止した後、再開した時は全身から汗が噴き出す暑い毎日でしたが、いつしか時が過ぎ、厚手のチョッキを着込んで歩くようになっています。今年は、夏の盆踊りも、秋のお祭りでのお神輿もなく、季節感を感じられないまま暦が進んでいく様に感じます。恐らく、後世、歴史的な転換期と言われるであろう令和2年も、残り2か月となり、悔いなく新年を迎えられるように精いっぱい駆け抜けて参りたいと思います。

 10月26日から臨時国会が始まりました。菅内閣となって初めて臨む国会論戦に注目が向けられています。菅さんの所信表明について、政権運営のビジョンや国家感などが感じられないといった批判が野党や一部マスコミから浴びせられました。しかし、私は、具体的な政策を掲げ、しかも、それぞれ期限を設定して覚悟を示すという従来にないスタイルに大いに好感を持ちました。兎角、政治家の言動は、先行って責任追及されないように、期限を切る明確な政策を掲げる事を避ける事が多い中で珍しい内容だと思います。政治は結果責任が大事。何を残せるか。「国民のために働く内閣」として覚悟の程を感じます。

 「2050年までにカーボンゼロを目指します」EU等では、既に掲げている目標であり、日本独自の内容ではありませんが、明確に目標設定をしたのは良かったと思います。日経新聞などは、国家目標が定められた事で、官民挙げて将来に向けて環境技術開発などに邁進して、世界のイニシアティブを確保して行く事が大事だとして好意的に受け止めていました。もっとも、地元紙を初め一部マスコミでは「日本学術会議への批判隠しに掲げた政策」といった報道があって、何処まで捻くれてものを観ているのかと呆れました。

 こうした意欲的な環境目標を掲げたことによって、エネルギー基本計画における原子力の扱いも当然にしっかりと議論して位置付けて行かなくてはなりません。福島第1原発の廃炉作業で発生している汚染水の処理についても、年内に決着をつけるべく取組を始めています。原子力政策への国民的理解を正面から説いていく覚悟がなければ踏み込めない課題でしょう。10年間、歴代内閣が問題の所在を知りながら、政治的な決断を先送りしてきたこの問題に着手する覚悟を評価したいと思います。

 新型コロナウイルスとの戦いでは、最前線にいる病院経営の問題やワクチン開発、医療崩壊を招かない体制整備など課題山積です。更に、ウイズコロナ禍にあって経済の再生を如何に実現するのか。アクセルとブレーキを両方使い分けながら難しい運営をしていかなくてはなりません。Go To キャンペーンの期限延長も話題となってきました。携帯電話料金の値下げ、規制緩和による行政改革、不妊治療の保険適用など、菅内閣が掲げる具体的な政策目標。デジタル庁の設置は、IT国家を掲げて巨額の投資をしてきたにも関わらず、コロナ禍にあって惨憺たる日本の状況が明らかになりました。米国が3週間で実現した定額給付金の支払いが、3カ月経って漸く出来るようになる始末。行政のデジタル化は勿論、民間12分野においても、システムを共有化してデジタルトランフォメーションDXを推進して行く政策は、コロナ後の我が国をSociety5.0へ導いていく重要な取組になって行くでしょう。

 このように、臨時国会で議論するべきテーマは、たくさんあります。ウイズコロナ禍の課題、そして、コロナ後の世界や国内産業の在り方など、菅政権が具体的な政策を掲げ取組んでいるのですから、これらについて、野党の意見をぶつけて実りある政策論争をして貰いたいものだと思います。

 残念ながら、今のところ野党が主要論点で掲げているは、日本学術会議を巡る任命拒否問題になっています。日本共産党の機関紙赤旗の記事によって社会的な問題に広がったテーマ。一部報道機関も、学問の自由を揺るがす大問題と騒いでいます。私は、菅総理大臣には、日本学術会議のもつ課題について率直にお話をした上で、何故、今回の6名について任命しなかったのか、もう少し説明をする必要があると思っています。しかし、今回の事で、学問の自由が侵害されるとする意見は、些か飛躍しているのではないでしょうか。

 学問の自由とは、①研究の自由②発表の自由③教育の自由(唐木東大名誉教授)によって構成されています。学術会議は研究機関ではないので、①と③は無関係です。②についても、「軍事研究拒否」や政治的な反対声明など自由に発信をしてきた実績を観ても政府によって妨げられた実績はありません。日本学術会議会員の任命と学問の自由は無関係です。その上で、特定の学閥や学会に偏ってしまっている閉鎖性や偏った政治的活動、年間10億円の予算を投じながら政府からの諮問を受ける事が減って来ていた現実など、問題も指摘されています。私は、先進諸国において、そうであるように、民営化するのが良いのではないかと思っています。真に国民の幸福や安全に貢献し、世界にも通じる頭脳集団であれば、寄付も集まるだろうし、政府からのプロジェクト研究も受注できるでしょう。自由で闊達な、かつ自立した学者集団となった方が、国民にためにも、学究者の皆さんにも、八方良しとなると思っています。いずれにしても、議論の推移を見守って行きたいと思います。

 野党や一部マスコミは、結局、菅総理も安倍さんと一緒じゃないかというレッテルを張ろうとしています。しかし、安倍総理の桜を見る会やもりかけ問題で指摘されていたのは、身内に対して便宜を図ったのではないかという疑惑であり、今回の日本学術会議を巡る話題とは、本質的に違うと思っています。

 臨時国会の展開如何では、年明け早々の解散総選挙も噂されています。3月末の予算成立後、或いは、任期満了。いずれにしても、この3つの選択肢の中で、何処かで菅総理が決断し勝負をかけていく事になるでしょう。毎日、各地をまわりながら、その時に備えています。批判ばかりしている共産党や立憲民主党に、日本の明日を、北信の将来を託すわけには行きません。地域の具体的な課題に向き合う政治を取り戻すため、政府与党のパイプを再構築するためにも、与党自民党の議席奪還に取組んで参ります。ご覧いただいている皆さんにも、様々な方面から協力依頼など行くと思いますが、私にとって背水の陣で取組む戦いです。どうか、ご理解の上、ご協力を賜りますようにお願い申し上げます。