若林けんた
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メールマガジン 若林けんた

2020年4月3日

新年度のご挨拶

梅や杏、桜の花の便りと共に春が訪れ、入社、入学と胸躍らせ迎える新年度であるはずが、今年は、まさに新型コロナウイルスとの戦いの真最中で、インターネットで入社式をする会社がある等、異例の新年度幕開けとなりました。

ウイルスとの戦いが全世界に広がり、人類が一致結束して挑む前人未踏の世界に突入しました。先月のメールマガジンを観てみるとWHOがいずれパンデミックを宣言するだろうと予測しているものの、ここまで、戦線が拡大して行く事を予測することは出来ていませんでした。

ついに、東京オリンピックも来年に延期される事となりました。 長いオリンピックの歴史において延期の決定は初めて。中止とならなくて良かったと思います。オリンピック開催における米国の影響力、トランプ大統領との関係、バッハIOC会長との信頼関係など、これを実現できた背景には、現政権の外交力が大いに発揮されたと評価しています。

コメディアンの志村けんさんが新型コロナウイルスによる肺炎で急逝して、多くの皆さんがショックを受けました。私も「8時だよ全員集合」の世代だけに、訃報に驚き、重症化すると一気に容態を悪化させるというこのウイルスの恐ろしさをまざまざと感じさせられました。そして、ついに、長野市でも感染者が報告され、これで長野県内は感染者9名となりました。

4月に入ると緊急事態宣言が政府から発せられ、首都東京がロックダウン(封鎖)されるのではないかとのデマが流布されました。心配された方から、確認の電話を何軒か頂き、転送された某有力代議士からのメールというのも見せて頂きました。菅官房長官が記者会見で明確に否定していましたが、こうした時は、様々な情報が乱れ飛ぶところ。真偽を冷静に見極め対処しなくてはならないと思います。

長野県内も現時点で9名の感染者が確認されています。感染拡大している大都市圏との往来を制限しながら、正確な情報に基づき、きちんと恐れ、手洗い等、自己防衛をする事が大切です。

一方で、長期戦となる事を覚悟して、許される活動を見極め動いていく事も必要でしょう。難しいバランスが必要とされています。 3月27日に令和二年度予算が可決成立して、早速、第3弾となる緊急経済対策の策定に取り掛かるように総理から指示がだされました。米国も2兆ドルという破格の対策が打ち出されるところ、我が国でも、GDP1割を目安に56兆円規模で対策をまとめる事とされています。

経済対策を打ち出すにあたって、予め規模を明示する事は異例なことで、それだけ、政府の危機感が強い事を示しています。 元々、景気の山は一昨年に迎えており、既に昨年10月の消費税引き上げ時点では下り坂になっていたところ。消費税10%引き上げ、台風19号災害、暖冬と続いた後に来た新型コロナウイルスで、日本経済は瀕死の状況に陥っています。

観光産業、飲食業界は勿論、トヨタ自動車を始めとした我が国の基幹産業である自動車産業も生産を半減する等しており、県内でも広範に渡って甚大な影響が出ています。 現金給付、ポイント還元、商品券など一般消費を直接刺激する即効性ある政策が検討されています。高速道路無料化も効果ある政策となるでしょう。また、企業の資金繰りを巡り、直接、困難を極めている中小事業者などへ助成支援を行うことも総理から言及されました。法人税消費税や社会保険料の納税猶予も行われます。

考える施策の限りを尽くして取り組まなくてはなりません。 消費税に関しては、引下げを求める意見のある一方で、現場の手続きが煩雑な事、レジなどのプログラム変更などコストの面などで反対意見もあります。財政当局は再引き上げが難しくなることへの警戒から徹底的に反対するでしょう。

私は、かねて財政再建を重視する考えを持って居ますが、非常時に当たって、一定期間を区切って消費税の引き下げを検討する事もありではないかと思っています。欧米等では、景気対策として、消費税率を上げ下げする事は普通の政策として取組んでいます。

まあ、4月上旬には取り纏めの予定です。私なりに、自民党内において発言してみたいと思います。 感染拡大を抑制するための対応と、一方で、経済社会を壊死させないように対策を取りながら、ワクチンの開発を世界規模で協力体制を引き取組んで行くしかありません。健康と経済の両面を何とか維持して時間稼ぎをしつつ、ワクチンの開発を待つ。一日も早い光明を祈念しています。 人類史上稀にみるウイルスとの戦いを経験した後の世界は、どう変化していくでしょうか。

第一に、急速に広がったグローバル化の波に対する見直しの動きが出てくるだろうと思います。人、物、金が国境を越えて自由に動くグローバル化は多くの利益を齎しましたが、同時にウイルス感染拡大をみるように大きなリスクを抱えている事が明確になりました。グローバルなサプライチェーンの見直しが取組まれるようになるでしょう。中国に生産を頼っていたマスクの供給不足も深刻でした。国の存立を図る上で、リスクの分散化や最低限自前で用意する体制が必要とされる訳で、効率一辺倒の国際分業には一定の限界があると認識しなくてはなりません。勿論、国家の基礎であるエネルギーや食糧においても同様の議論が必要なわけで、改めて、食料安全保障について焦点が当てられるのではないでしょうか。

第二に、首都圏の一極集中という構造が如何にリスクを多く孕んでいるかが認識されました。小池都知事が「首都ロックダウン」と言及した時、デマやフェイクニュースが流れましたが、それほどインパクトが大きかったという事の裏返しでもあります。様々な機能を全国に分散化して、リスク管理するのも国家経営とすれば必要であり、地方分権を改めて問い直す機会になるではないでしょうか。

第三に、主権国家の役割拡大です。コロナウイルス感染拡大に当たって、対策の責任を負ったのは、主権国家であり、国連やWHOの存在感は薄かった。ヨーロッパにおいても、生存を脅かす事態に当たって、それを救うのは、EUではなく各主権国家だというのが明確になりました。

第四に、習近平国家主席が率いる中国の国際社会における位置づけの変化です。昨年11月に武漢で発症した新型コロナウイルスに対する初動対応で隠ぺいした事が今日のパンデミックを生みました。一帯一路を掲げ中国が主導するグローバル化への取組にも関係国の対応が変わってくるでしょう。

いずれにしても、世界の歴史を大きく塗り替えるパンデミックが発生し、我々はその歴史の当事者として、今を生き抜いて行かなくてはなりません。世界、日本、そして、長野県。取巻く全体の動きを見極め、一致結束して乗り越える時。斜に構え、細かい政府批判をしていても何の解決にもなりません。共に、手を携え、乗り越える覚悟を申し上げて、新年度のご挨拶にさせて頂きます。

最後に、このほど成立しました「令和2年度当初予算」について、事業実施箇所(長野県)が、 以下のURLにて公表されましたのでお知らせいたします。 ご高覧いただき今後ともご指導賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

◆国土交通省

http://www.mlit.go.jp/page/content/001337517.pdf

◆農林水産省

https://www.maff.go.jp/j/budget/kasyo/2tousyo/attach/pdf/index-8.pdf