若林けんた
若林けんた

メールマガジン 若林けんた

2020年9月7日

長い梅雨、厳しい残暑、永田町も異常気象

 長い梅雨の後は、お盆を過ぎても猛暑が止まぬ残暑厳しい毎日。南太平洋の海面水温が異常に高くなっていて、大型の台風が発生しやすい環境になっているそうです。つくづく異常気象である事を実感させられます。

 永田町も異常気象と言いましょうか。予測できない事態が起きました。7年8カ月に渡り日本の舵取りを務めた安倍晋三総理大臣が、持病の潰瘍性大腸炎再発によって退任すると表明して、急遽、自民党総裁選挙が行われる事となりました。通常国会が終わった頃から、7月上旬に吐血したといった週刊誌の記事が出るなど健康不安説が流されていました。確かに覇気がなくなった顔を見る度に心配をしていましたし、そうした不安を抱えながら、果たして9月に党役員人事や内閣改造が出来るのだろうかと思っていました。それだけに辞任会見については、驚きはしましたが、比較的冷静に受け止める事が出来たように思います。

 多くのメディアで安倍内閣の功罪に関して語られています。私は、迷走する民主党政権によって失われた国際社会からの信用や経済の低迷を脱し、日米関係の再構築、アベノミクスによるデフレからの脱却など大きな成果を上げてきたと思っています。そうでなければ、これだけ長い間政権を維持する事は出来なかったでしょう。しかし、一方で、アベノミクスについては、金融緩和や財政支出は良かったけれど、第3の矢である成長戦略について十分に成果を上げられなかった。都市と地方、大企業と中小企業など格差が拡大して、成長の果実が十分に生き渡らなかったなど問題もありました。安倍総理自身も辞任会見で、北朝鮮の拉致問題、北方領土問題、憲法改正の3つの課題が未解決であると指摘していました。また、長期政権による弊害は、官僚による忖度など組織の金属疲労も出ておりました。

 7年8カ月の長きに渡り、日本のトップリーダーを務め、世界を俯瞰する外交を掲げながら丁々発止活躍してきた安倍総理には、敬意と感謝を持ちながら、ゆっくりと静養され治療に専念頂きたいと思います。残された課題は、次の時代を担っていく我々でしっかりと取組んで行きます。

 次の自民党総裁を選任するに当たっては、党員投票を行うフルスペックの総裁選挙を行うべきであるという声があったにも関わらず、自民党総務会で、14日に開催される両院議員総会によって決める事となりました。率直に申し上げ、残念に思うし、自民党として、改善しなくてはならない点が大いにあると感じました。

 自民党総裁は、国会での首班指名を経て、内閣総理大臣になります。日本の国のトップリーダーを決める選挙ですから、候補者の国家ビジョンやコロナウイルス等課題解決に向けた取り組みを喧々諤々議論し、党員以外の皆さんにも、為人を見極めて貰い、なるべく多くの党員が関わり選出される事が望ましいと思っていました。しかし、投票権ある党員の確定作業などを考えると2か月程度の期間を要する事となり、権力の空白が長くなり過ぎるため党員投票が出来ないとの事でした。一方で、各県連に割り当てられる3票については、党員の意見を反映するようにとの配慮から党本部が予算援助をして予備選挙の実施を促したところです。長野県連も予備選挙を実施する事としました。

 まず、今どき党員管理が県連任せになる中、確定作業に2か月を要するとの話に驚きました。マイナンバーが普及せず給付金支給に手間取った話に似ています。業務改善が必要です。各県連が行う予備選挙によって意向を反映させて投票できるのであれば、議員票以外の票数をフルスペックの時と同じように議員票と同数にして、党員数によって各県連に割り振れば、事実上の総裁選挙が党員の思いを組んで実行できるのではないかと思います。どうして、こうした改善を行おうとしないのか。自民党本部に乗り込んで吠えたい思いいっぱいです。

 国民政党を歌う自民党は議員政党としての体制を大いに変えて行かなくはならないと思います。職域党員など、様々な立場を持つ幅広い党員によって支えられている近代政党に生まれ変わるには、トップリーダーを決める総裁選挙の仕組みにも、その理念が反映されたものに改善して行く必要があります。今回の総裁選を経て、課題を十分感じました。復帰をしたら、早速に取組みます。

 主流派に留まりたい派閥の論理が前面に出た総裁選挙の序盤戦。既に勝負があったかのような報道もありますが、来年に実施される任期満了に伴う総裁選挙も視野に入れて考えると1位ばかりでなく2位を巡る投票結果は重大です。多くの県連で予備選挙が行われる事となり、その結果も目が離せません。菅、石破、岸田の3候補には、是非、それぞれが掲げる国家ビジョンを大いに語り論戦を展開して欲しいものです。少子高齢化の中における持続可能な社会保障制度、コロナ禍による景気減速をどう乗り越えるための政策、アベノミクスに対する評価と修正点、財政再建、尖閣列島を含む対中国政策、食糧安全保障、エネルギー安全保障、原子力政策、憲法改正への取組……挙げればきりがない。それだけ、日本を取り巻く課題は山積していますので、是非、論戦を注目して行きたいと思います。

 9月16日にも国会が召集され、首班指名が行われます。施政方針演説とこれに対する各党代表質問が9月下旬となるか、10月に入るか、与野党の協議がなされているところです。そうした中、与野党を問わず、各方面から解散総選挙を求める声が出始めています。「帰ってきた民主党」の枝野代表は、最短で10月25日と投票日まで言及する様子。7年8カ月に渡る安倍政権が変わり、野党も、立憲民主党と国民民主党の一部が合流して新しい体制となりました。コロナ対応を含め、主要政党が政策を掲げ、国民に信を問う時期が来ているように思います。

 4年に渡る浪人生活の中で、多くの人にお世話になり、様々なご縁を頂き、地域の中の課題を身に染みて感じてきました。Society5.0と言われる新しい時代へ国が大きく変わろうとするコロナ後の世界。批判や避難ばかりしても、日本の国を良くし、地域を豊かにすることは出来ません。地域にある具体的な課題に、県、市町村の皆さんと一緒になって取組、汗をかき、将来の基盤を築いていく地道な政治の構造を、是非、私は取り戻して行きたいと思っています。47都道府県で、県庁所在地を抱える1区で、自民党代議士の居ないのは長野県だけ。私の背負っている使命は大きくあります。強力な現職に挑むチャレンジャーとして、背水の陣との覚悟で挑んで参ります。どうか、引き続きのご支援をお願い致します。